おからは栄養豊富なエコ食材?その魅力や上手な食べ方とは

おからは栄養豊富で健康的な食材であると考えられています。一方で、おからを食べ過ぎると体に悪いとする説もあるため、おからの健康効果を活かす食べ方を知りたいと考える方もいらっしゃいますよね。


この記事では、おからに含まれる栄養成分や、おからの効果について解説します。健康食材、またエコ食材でもある「おから」の基本についてぜひ知ってみましょう。

 

おからとは?

 

おからとは、材料である大豆から豆乳を絞った後の残りかすです。豆乳の部分はそのまま飲んだり、豆腐の原材料として使われたりします。おからは残り物として扱われがちですが、実は栄養も豊富なため、食材として上手に取り入れるのがおすすめです。

 

卯の花(うのはな)と呼ばれるおかずは、おからを具材と一緒に煮て味をつけたものです。おからは、こうして煮て食べるだけでなく、他のメニューのかさ増しやつなぎとして調理に使われることもあります。

 

おからの作り方と魅力

 

まずはおからの作り方を紹介します。

 

大豆の絞りかすから作るエコフード

おからは、大豆の絞りかすそのものです。水戻しした大豆に水を加えてミキサーにかけ、加熱して布巾などで濾すと、豆乳を絞ることができます。このとき布巾のなかに残った固形の部分がおからと呼ばれるものです。

豆乳を作ったあとの「ごみ」として捨てられてしまえばそれまでですが、加工すればおいしく食べられるだけでなく、栄養価も高いエコフードであると言えます。

スーパーや豆腐店などでは、おからの部分だけがまとめて販売されていたり、おからを加工した製品として販売されたりしています。

 

アレンジが楽しめる素材

おからの食べ方として最もメジャーなのは、すでに紹介した卯の花です。

おからは製造過程ですでに一度加熱されているため、加工して食べる際に、必ずしも長時間加熱する必要がありません。この特性を活かして、サラダやスープの具にする、ハンバーグやお好み焼きに入れるといった活用方法があります。

おからがメインとなる料理は決して多くありませんが、他の料理に「ちょい足し」できるため、アイデア次第で豊富なメニューを楽しめる点がおからの魅力とも言えるでしょう。

 

おからに含まれる栄養成分

 

おからは元々が大豆でできているため、栄養成分が豊富に含まれています。おからに含まれる栄養成分は、以下のようなものです。

  • カルシウム
  • タンパク質
  • カリウム
  • 食物繊維

それぞれについて豆腐との比較を交えながら解説します。

 

カルシウム

おからには、カルシウムが多く含まれます。生おからの場合、100gあたりのカルシウム量は81mgです。

同じ大豆からできた製品でも、絹ごし豆腐の場合、100gあたりのカルシウム量は30mgと、おからよりも大幅に少なくなります。

カルシウムは骨をつくるほか、心臓の筋肉コントロールに役立つことが分かっている栄養素です。カルシウム不足は、成長期の子どもはもちろん、大人にとっても骨粗鬆症の原因になるため、警戒すべきといえるでしょう。

おからを食べることで、カルシウム不足を補える可能性があります。

 

タンパク質

おからには、タンパク質も豆腐より多く含まれることが分かっています。おからに含まれるタンパク質は、100gあたり6.1gです。これに対して、絹ごし豆腐100gに含まれるタンパク質は5.3gとされています。

人の体の20%ほどはタンパク質でできていると言われており、人が体を健やかに保つためには、タンパク質の摂取は欠かせません。髪や肌を健康に保つためにも、タンパク質は必要な栄養素です。

しかしタンパク質は、ダイエットや減量・加齢・ストレスなどに伴う食事量の低下により、不足しがちな栄養素であるとも言われています。低カロリーなおからで上手に補うのがおすすめです。

 

カリウム

カリウムとは、体内で塩分濃度などをコントロールする機能をもつミネラルの一種です。

カリウムには浸透圧の調節機能がありますが、不足すると体外に余分な塩分を排出できなくなってしまう、なくてはならない栄養素です。

またカリウムが不足すると、不整脈から精神疾患まで、さまざまな体調不良を引き起こします。

おからに含まれるカリウムの量は、100gあたり350mgです。一方、豆腐100gあたりのカリウムの量は150mgで、おからの方がはるかに多いことが分かります。

 

食物繊維

おからに含まれる食物繊維総量は、100gあたり11.5gです。これに対して、豆腐100gあたりの食物繊維量は0.9gで、おからのほうがかなり多くなっています。

豆腐を作る過程で大豆をおからと豆乳に分離する際、食物繊維のほとんどはおからのほうに残ってしまうため、大豆のもつ食物繊維の効果を取り入れたい場合は、積極的におからを食べるのがおすすめです。

食物繊維には便秘を予防し、不要な老廃物などを体外に排出する働きがあります。

 

おからを生活に取り入れる方法・工夫

 

おからを生活に取り入れると、多くの栄養素を摂取でき、健康にも役立ちます。ここでは、おからを取り入れるための方法や工夫を紹介します。

 

おからを「卯の花」にして食べる

おからを煮たものは「卯の花」と呼ばれる和食料理です。おからにさまざまな具を入れ、和風だしや酒、みりん、出汁醤油、砂糖などで味をつけて煮ます。

卯の花の具は、家庭によってさまざまです。一例を挙げると、ニンジン、干し椎茸、こんにゃく、ちくわ、長ネギ、鶏もも肉、油揚げなどがあります。好みで具材を入れ、多彩な味を楽しめるのが、卯の花の醍醐味とも言えそうです。

なお、卯の花は冷凍保存ができます。作り置きにして簡単に食卓に出せる便利なひと品です。

 

かさ増しに使う

おからは、かさ増しに使うことができます。例えば、ハンバーグやつくね、コロッケなどの料理に入れると、全体量が増えるため満足感がアップするでしょう。また挽肉料理のかさ増しに使うと、おからが肉汁を吸って閉じ込めるので味のグレードもアップします。

おからをかさ増しに使うときは、生のまま入れるだけなので簡単です。また生のおからも冷凍保存できるため、一度に使わない場合は冷凍しておき、必要な分だけ解凍して使えば便利です。

 

おからパウダーの状態で取り入れる

近年「おからパウダー」という商品が登場し、注目を集めています。これはおからを乾燥させ、パウダー状にしたもので、さまざまな使い方ができるのがメリットです。

例えば、サラダなどにそのままかけるだけでも食べられます。調味料と水で戻せば卯の花として煮ることができ、さらに料理のかさ増しにも使える優れものです。小麦粉の代わりに、唐揚げ衣などに使って糖質をオフすることもできます。

 

おからを食べすぎると体に悪い?

おからは栄養面でも使い勝手の面でも、とても優れた食べ物ですが、食べ過ぎると体に悪い面もあると言われており注意が必要です。おからの食べ過ぎが体に悪いと言われるのは、おからに含まれる豊富な食物繊維が原因と考えられます。食物繊維はそもそも、腸内で善玉菌のエサとなり腸内環境を整えるなど、メリットの大きい栄養素です。

 

しかし、栄養の吸収を緩やかにするはたらきもあるため、食物繊維の摂りすぎによって、必要な量の栄養も吸収されにくくなる可能性が指摘されています。また、食物繊維を摂りすぎると腸内の水分量や便の量を適切に保つことができず、下痢や便秘になる可能性もあります。

 

とはいえ、こうした弊害は通常の食事量では滅多に起こらないと考えられます。厚生労働省によって提示される食物繊維の摂取目安量は、64歳以下の女性で1日18g以上、男性で21g以上です。おからの食物繊維は100gあたり11.5gになるため、目安量を超えることはまずないと言えるでしょう。

 

おからを取り入れておいしくヘルシーな食生活を送ろう

おからは、栄養分が豊富な食べ物です。適量を食べることで、栄養バランスのよい食生活が送りやすくなるでしょう。さらに、捨てられてしまう部分がおかずとして活用できると考えれば、エコの観点でも効果的です。

おからの活用方法は多く、さまざまな料理に取り入れることができるため、バリエーション豊かに楽しんでいただくことができます。まずは煮て食べる、上からかけるだけ等シンプルでやりやすい方法から、食卓におからを取り入れてみてくださいね。

 

参考文献

日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 文部科学省

カルシウム e-ヘルスネット 厚生労働省 参照年月日:2024年2月20日 カルシウム|e-ヘルスネット(厚生労働省)

カリウム e-ヘルスネット 厚生労働省 参照年月日:2024年2月20日 カリウム|e-ヘルスネット(厚生労働省)

食物繊維 e-ヘルスネット 厚生労働省 参照年月日:2024年2月20日 食物繊維|e-ヘルスネット(厚生労働省)